現在超多忙中につき、新たなゴルフ本も読めない現状ではあるが、
最低でも週2回はブログをアップすることにしているので新シリーズ?を書くことにする。


オッサンがゴルフのウンチクを語りだすのはダサくて嫌だし、
加齢臭が漂うことも重々承知だが、ゴルフブログだと自負しているので、
この「あるがまま」シリーズ?もいつまで続くかどうかも不明ですが(笑)



「あるがまま」① ハリー・ブラッドショーと福澤義光の場合


アイルランドのゴルファーのプロゴルファーと言えば、
パドレイグ・ハリントン、ダレン・クラーク、ロリー・マッキロイなど有名ですが、

「優勝争いをしながら、ラフに転げたボールに一輪の花がもたれていたのを見て、
アンブレアブルを宣したアイルランドのプロ、ハリー・ブラッドショー」
の話。

プロの中で「あるがまま」と「アンプレアブル」について
珍しい美学をあらわす逸話としてゴルフ史家・渡辺功一氏の文章から引用します。



『ゴルフプレーにおける最大の基本は、ひとたび第1打を打った瞬間から、そのボールをカップインしてホールアウトするまで、決してボールに触れてはならないという掟である。

「ボールはあるがままにプレーせよ」という基本原則からすべてのルールは発生している。

しかし、打つには不可能な状態もあることから、アンプレアブル(プレー不可能)なるルールが生まれた。自打球と確認できるが打てない状態の場合、唯一プレーヤーが決定権をもち、決められた処置で救済が受けられる。

プロゴルファーのハリー・ブラッドショーは、左手を上げて声高らかに宣言した。「アンプレアブル」。

何だって?一緒に回っていた同伴競技者はもちろん、大勢のギャラリーも一瞬、呆然とした。

そこは浅いラフでボールも浮いてみえるし、石もなく前方に木立がさえぎっているわけでもない。

だが、ハリーは躊躇なく、「アンプレアブル」と再度左手を上げてから、ボールを拾いホールに近づかない後方2クラブレングス内にドロップし、そこから5番アイアンでみごとにグリーンをとらえ、2パットでホールアウトした。パーにアンプレアブルの1打罰が加わってスコアは5になったが、ハリーは涼しい顔で次のホールへ向かった。

ゲーム終了後、ライが悪かったというハリーの言葉を不審に思った新聞記者がアンプレアブル宣言の現場を注意深くのぞいてみると、ハリーのボールは可憐な紫色の花が一握りほど群生したすぐそばにあったのだ。
クラブを振ればこっぱ微塵に吹っ飛ぶ位置に咲いていた。

さっそく記者は、ハリーをつかまえて意地の悪い質問をした。「ちょっとキザだと思いませんか?詩人的要素が強いゴルファーは勝負に弱いといいますが」、すると「私は、きれいに咲いている花をなぎ倒す勇気のない人間だ。花よりショットの方が大事だとは思えなかった。ついでだが、アンプレアブルの宣言はゴルファーの選択に任されているんだよ

アイルランドに生まれたハリーは、物心ついた頃から老神父にゴルフと聖書を同時に学びながら、やがてプロの道を歩み始めた。神父は若いころゴルフのアマチュア選手として鳴らしたが、戦争で負傷し選手生活は断念したもののコーチとしては、アイルランド随一であった。神父は、ハリーが挫折を訴えるたびに、聖書の中から言葉を引用して答えた。大自然に対する畏敬の念、私利私欲の浅ましさ、愛する心、道徳の尊さ。そして、最後に必ずこうつけ加えた。「ゴルフは教えられるたびに難しくなっていくものだ。自分の頭の中に、一つの理想とするスィング像さえ持っていれば充分である。あとは自分で創意工夫と改善あるのみである」、さらに「ゴルフは、あるがままのものを静かに受け入れるから偉大なのだ。私欲を優先させる人間は、結局、一人前のゴルファーにはなれないのだ」


昭和24年(1949)英国サンドイッチのロイヤル・セント・ジョージズで開催された全英オープンに出場したハリー・ブラッドショーは、初日の成績68で堂々の首位であった。

ところが二日目の5番ホールで、ラフに飛び込んだハリーの打球に信じられない災難が待ち受けていた。

なんとボールは、割れて半分になったビール瓶の中にぽっこりと収まっていたのだ。ハリーは大笑いしたあとで、「さて、どうしたものか」とつぶやいた。

むろん、ルールブックに解決策を求めれば、救済は受けられるだろうが、競技役員の採決を仰ぐまでもなく、瓶は紛れもなくコース内にあったもので、そこに打った自分にすべての責任はある。これは自らが解決すべき問題だ。

おもむろにウエッジを振り上げて「バシャッ」瓶は粉微塵に砕け散って、ボールはようやく30ヤード先に転がり出ただけであった。このホールで6打を費やし、その日のスコアは77。3日目は68。最終日は70で、南アのボビー・ロックとプレーオフにもつれ込んだが、惜しくもハリーは破れてしまった。

新聞記者たちはあきれて聞いた。

「花のときはボールを拾ったのに、ビール瓶ではそのまま打った。なぜだね、ハリー?もしあそこで救済処置を受けていたら、全英オープンに勝てたというのに」というインタビューに答えて、ハリーは控えめな声でこう言った。

ボトル
Harry Bradshaw (left) and congratulating Bobby Locke (right)



自然を愛して、あるがままにプレーせよと神父さんに教えられたんだ。そうしたら、ああなったが、私にはどちらも同じことだった」、おそらく彼は聖書から自分の職業を学びとった史上初のゴルファーではないだろうか。

さて、もし同じ場面に遭遇したなら、自然を愛する心、あるがままの精神、あなたはどちらを選択するのだろうか。

脱出不可能な場合に限らず、クラブの損傷と樹木の保護を優先とする人の宣言も多いが、日本のツアーで福沢プロの打球が、生きているトンボの上に重なって止まり、とても可哀そうで打てないと、順位が下がり、賞金額が変わることを覚悟で宣言したことがある。後に小学生の教科書に美談として紹介された。

ともあれ、アンプレアブルは勇気ある賢明な選択であり、自らの人間性をも見つめる絶好の機会となるのである。

ブラッドショ―
'Ball in the bottle': Harry Bradshaw (back row, far right 後列右端)

この行為を称えてこの事件の事を「ブラッドショーボトル」と呼ばれ、この事件が元でR&Aは動かせる障害物は無罰で取り除けるルールを制定したと言われる。この割れたビンは、今でもゴルフミュージアムに展示されているらしい。(これは未確認情報。画像が見つからない。)

そしてこれはよく間違えているのがプレーオフでの出来事ではなく、2日目のアクシデントであり最終日の1打差を争う場面での事件ではないんだな。

Bobby Locke     69-76-68-70--283
Harry Bradshaw   68-77-68-70--283

ただ夏坂健さんの「ゴルフの神様」によると、彼は「神経質から最も遠い場所で演じられたゴルフの典型」と呼ばれ、例えば彼のクラブのウッドは絆創膏が張られ、ソールはささくれ立ち、サビが浮き、スクラップ同然。アイアンも真っ赤に錆び付き、グリップもてんでバラバラ、極めつけは13本のクラブ全てが異なるメーカーだったという。

またトーナメント中も鼻唄と口笛を欠かさず、雲を見上げたりラフに咲く花の匂いをかいだりとまるで散歩のようにラウンドしたという。朝まで飲み続け、真っ直ぐ立てないような状態で1963年のワールドカップに出場した(それでもトップタイの成績で上がった!)事もあったらしいとのこと。




そして「福澤義光プロのトンボ事件」

これは「あるがまま」ではないけど、

福沢

福澤義光が初シード入りした1996年11月のフィリップモリスチャンピオンシップ最終日。

15番ホールでの第3打で、赤トンボがボールの下敷きになって、身動きが取れなくなっていた。 
しばらく考えあぐねた福澤は、ペナルティを承知で球をピックアップ。トンボを逃がしてからプレーを再開した。

1打罰のおかげで、最下位へと順位を下げたが、「そのまま打てば、トンボは確実に死んでいた。そんなのかわいそうだ」とコメントし、ほのぼのとした感動を呼んだ。

その後この一件が、平和な地球社会を目指す団体・ユネスコの目にもとまり、その年のフェアプレー賞受賞。
福澤の優しさは、世界レベルで知られるところとなった。

たぶんワシが推察するに、福澤プロのプロには向いていない優しさは当然のことながら、例え赤とんぼであれ、不甲斐ないスコアでまわっている自分に殺される筋合いはないと憐れんだと思います。

ただ、JGAは裁定で「ストロークされて動いていた球が、生きている局外者であるトンボによって止められたと考えられるので、競技者は規則19-1aに基づいて罰なしに球を拾い上げてドロップすることができた。ところが、競技者は拾い上げた球をドロップではなく、球をプレース(球を拾い上げたときにトンボは逃げているので、リプレースには当らない。)しているので、規則19の違反に対する一般の罰、すなわち2罰打を付加すべきであった。」としています。by GDO

そんな優しい福澤プロも2001年「タマノイ酢よみうりオープン」で優勝しています。



ハリー・ブラッドショーも福澤義光も優勝がかかったシーンでの行為ではないので、もし優勝がかかった1打ならどう判断していたかは不明ですが、二人ともこの優しき行為があったからこそ歴史に残ることになりましたな。


ワシのブログはどうしても長文になるな。(笑)
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