あれは1月末だったか?2月の初旬だったか?
大学時代の同級生Kくんから突然メールが届いた。

Kくんは2010年秋にこのブログで「ブログで大学同窓会への返事を書く」に書いたが、
約30年ぶりになる大学時代の同窓会を開くことに駆けずり回ったメンバーの一人。

彼のメールの内容は大学時代の同級生である福井くんが、
処女小説を出したので同級生で色々応援しようという趣旨であった。

別にそれくらいの付き合いは何でもないのでさっそくamazonで注文した。

しかしちょうどそのころは仕事がピーク(今もだが)であり、
また2月中旬に入院中の母親の病状が悪化したため、
私は週3回入院中の母親に付き添って簡易ベッドに寝る生活だった。

結局母は3月1日に亡くなるわけですが、落ち着いてこの本を読む時間がとれなくて、
母の病室で付き添いの夜になんとか読んだわけだ。

私はその約30年ぶりの同窓会も出ていないため、福井くんの思い出は、
大学時代はあまり親しい関係ではなかったので、東北人らしい真面目な寡黙な印象しかない。
逆に彼は私の印象はないかも知れない。あまり話した記憶がないからね。

母校は同級生っても教養課程の2年間だけの同級生。

私はほとんどの男が小説家志望の母校文学部の中で、
映画と麻雀に明け暮れていて、真面目な彼との接点が全然ない。(笑)

それでこの小説を読み終えたが、この書評を書くのに少し時間がかかったのは、
何しろ仕事は山積み、それに母親の葬儀と感想を書く余裕が全然なかったためだ。

そしてまた私がブログで書評を、そして
絶賛の評ならともかくあんまり褒め言葉を書いていない評を書くのが憚られたわけだ。

そんなマイナスになるかもしれない評を書くなんて「アホか?友達甲斐がないやつ!」と言われそうでね。

ただ、まだまだ仕事が息つけないのだけど、ローカルなこの本だから、
どんな話題でも書けば、逆にフォローになるような気がしてきたので書いてみます。

なかなかネットで書評を書いてる人は少ないので。


その作品は「暗門の祈り」

暗門の祈り暗門の祈り
(2013/01/30)
福井次郎

商品詳細を見る

<内容紹介>
「関東に生まれ育った大学生が八甲田山中で出会った少女との淡く初な恋の行方を描いた恋愛小説。青森-八甲田山、弘前、白神山地、暗門の滝、美しいブナ林、東京-上野公園動物園、浅草花やしき、東京ディズニーランドを舞台に展開する。 《白神山地世界自然遺産登録20年記念》」 津軽書房刊 2013年1月

<著者略歴>
「1955年 青森県生まれ 早稲田大学第一文学部卒業 現在青森県在住。 著者「映画産業とユダヤ資本」 「戦争映画が教えてくれる現代史の読み方」 「歴史ミステリー コロンブスはなぜアメリカ大陸に渡ったのか キーワードはユダヤ人問題」 「カサブランカはなぜ名画なのか 1940年代ハリウッド全盛期のアメリカ映画案内~」 「青森の逆襲」 「マリリン・モンローはなぜ神話となったのか」  注:私より年上だったな。


この小説は一言で言えば20年前の大学生と高校生の淡い恋愛小説。

私はこの当時のコミュニケーションが文通とか下宿のおばさんの共同電話取り次ぎとかだったことには懐かしさを覚えたが、私は結構ドライなので、現代とはかけ離れた恋愛ストーリーにも、その当時の東京にも、あまりノスタルジック気分になれなかったな。(現在は心の余裕がないせいかも)

むしろ、このかなり純情な男女関係に対しての歯がゆさと、小説の舞台の20年前というストーリーの時代考証がどうだか気になったので、調べたらTDLオープンがちょうど30年前の1983年(昭和58年)でしたな。


amazonのカスタマーレビューにあった書評
「東北出身者や早大卒中高年へのノスタルジック・ララバイだ 2013/2/2」

「何気なく入った本屋で、たまたま見かけた『暗門の祈り』という『青春の門』を彷彿させるタイトルと表紙絵に惹かれ、買ってしまった。地元への郷土愛を強く感じさせるこの本。地元青森県人の魂宿る津軽富士こと岩木山、八甲田山、白神山地を紹介しながらも、東京の裕福な大学生とうら悲しい運命に翻弄される女子高生との、美しくも悲しい恋物語である。新人作家?らしいので、確かにまだまだ硬い表現も見かけるが、末尾などは人生を達観できる中高年こその台詞だ。出会いは東北だが、舞台は三十年年程前の早稲田界隈・都電・TDL・浅草・上野駅周辺などを転々として、話は展開する。全編を通じて流れるノスタルジーが、うぶな二人のぎこちない恋のやりとり、そして恋成就に向かって闘おうとする若い二人の健気さを演出している。固い蕾がいつの間にか一人前の女性に急成長していく辺りが読みどころだ。登山に興味のない人は、出だしの風景描写を飛ばしても構わないだろう。途中から気づかぬうちに感情移入し、引き込まれて一気に読破してしまう。上京して大学時代を東京で過ごした中高年男性にとって、一寸30年前にタイムスリップしたのような、淡い青春物語だ。」


え~この書評は良く内容を表しています。


私は仕事柄、なんでわざわざこの時代に20年前の純愛話?って疑問がまず最初に湧き、
おまけに私は有名な「青春の門」も読みそびれていたことも思いだしたが、

売れるか売れないか?話題性があるかないか?インパクトのあるなし等を
色々考えてみたが、この本のターゲットが非常に狭くて失礼だがそんなに売れそうもない気がする。すまん。

それはターゲットでありこの本のような青春時代を懐かしく思うアラフィフ以上が小説なんか読まないんだよな。

ある統計によると1ヶ月に1冊も読まない人が60歳以上は約60%と一番本を読まない年齢層。
たぶん老眼ってこともあるけど、歳をとると懐古のみで夢見る力であるイマジネーション能力が衰えるからだろうな。

もっとも作者は売れる売れないなんかに興味がないかもしれないが、
地元ではまずまず売れているらしく、これは作者の人徳と描写力だと思われます。喜ばしいことです。

この本はクソな内容でも売れる本や面白いのに売れない本でもない、別の範疇の作品です。

たぶんこの青春時代の恋愛テーマを永らく書きたくて懐で温めていたところに、
地元津軽愛が結びついての出版のタイミングだったと推察されます。
「20年前」がキーワードのような気がしますね。


つまり「白神山地世界自然遺産登録20年記念」ともあるように、
白神山地・暗門の滝に関しては非常に描写が丁寧でうまいと感じました。

タイトルでもあり表紙のイラストにもなっている、
この本のクライマックスである夜の第3滝での彼女の裸身シーンが見事である。

ただどこかで見たようなシーンでもあるが、
福井君は映画関係の著作はかなりあるので映像的なメッセージを強く感じられた。

私はノスタルジーで懐古的な恋愛ストーリーより、
この東北の名勝白神山地・暗門の滝の描写がこの小説の見どころだと思いますね。

特にブナ原生林、最後の宝庫として世界遺産に登録された白神山地。
そして白神山地で最も有名な名勝のひとつがこの暗門の滝。

この画像とマップを見てから読めば見ごたえありです。
必ず世界遺産白神山地・暗門の滝に行きたくなると思います。

ただ山登り門外漢の私が行けば遭難確実ですが・・・(笑)

anmon1anmon2anmon3
    暗門の第1の滝        第2の滝            第3の滝 

anmonguide.jpg anmon,touge


浅読みゆえに、こんな評を書いてマイナス効果かもしれないな。

が、話は飛ぶが、良く売れる本は内容云々より、75歳で直木賞受賞の黒田夏子さんや、芥川賞受賞で「もらっといてやる」発言が話題を呼んだ田中慎弥氏など話題性のある本と特定の人気作家の本だけ。

関係者に叱られそうだが、出版社も活字離れで出版不況で電子書籍化という時代ゆえに、売れない本は出さない時代。東野圭吾の「歪笑小説」を読めばよくわかりますね。

私は出版業界を憂いて、また作者の努力に敬意を表して、あえて違う視点から感想を書いてみました。

しかし、なかなか気を遣うね、こういう書評は。
何回書きなおしたことか。。。

まっこんな真面目なことブログに書いてもなかなか読まれないのが現実だが。
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