今のワシにはゴルフのゴの字もないし、
とりたてて語るほどの個人的なニュースもないので粛々とゴルフ本書評コーナーを進めます。

目指せ!前人未到のゴルフ本書評コーナー600回!(笑)

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ナポレオン狂 (講談社文庫) 文庫 – 1982/7/15  阿刀田 高 (著)
講談社刊 1982年7月

<内容>
「自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。その両者を引き合わせた結果とは?
ダール、スレッサーに匹敵する短篇小説の名手が、卓抜の切れ味を発揮した直木賞受賞の傑作集。第32回日本推理作家協会賞受賞の「来訪者」も収録する。」

<目次>
ナポレオン狂
来訪者
サン・ジェルマン伯爵考
恋は思案の外
裏側
甲虫の遁走曲
ゴルフ事始め
捩れた夜
透明魚
蒼空
白い歯
狂暴なライオン
縄-編集者への手紙-

<著者/阿刀田 高>
「阿刀田 高(あとうだ たかし、1935年1月13日 - )は日本の作家、小説家。早稲田大学仏文科卒。
「奇妙な味」の短編で知られる。2007年から2011年まで日本ペンクラブ会長を務めた。肺結核を患ったため、体に無理のない職業として国会図書館の司書となる。在職中に「ブラックユーモア入門」などを出版したがあきたらず、奇妙な味のあるショートショートを発表するようになった。」



この作品は30数年前の阿刀田 高さんの代表作であり、第81回(昭和54年度上半期) 直木賞受賞作品です。
この中には昭和44年~54年にオール讀物他雑誌掲載作品13編を収録しています。

この短編集の中に「ゴルフ」に関する作品があるのは、以前から知っていました。
ただゴルフに関係するのは中の1作品だけで純粋なゴルフ小説じゃないので後回しにしていたんだな。

今回amazon中古本か図書館で借りようかと思ってネットで調べてみたら、なんとこの短編集はPDFになってましたのでネットで無料で読めました。(笑)無料電子版ってことですね。
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講談社オンデマンドブックス 「ナポレオン狂」 阿刀田高

この作品が直木賞受賞の時の第81回直木賞の審査員の選評としては、

新田次郎
「私は作品集「ナポレオン狂」の中で、「ナポレオン狂」「来訪者」「ゴルフ事始め」「縄」の四作を勝れた作品として取り上げた。特に「ゴルフ事始め」は諧謔と風刺に富んだ頭脳的文学だと感心した。」「阿刀田氏は頭の中で作り上げた人間像に適格な照明を与え、一言半句も無駄のない、よく計算された筋運びの中で、現代社会を風刺している。」

水上勉
「エスプリに富んだ技巧派の文芸といえる。なかには思いつきめいた材料をご自分だけでおもしろがっておられるようにも思える作品もあるが、人生の闇の断面がたくみに切りとらえられて、心を打つ作品に出あうと、やはり、これも阿刀田さんの力だと思い脱帽したのである。」「受賞に異存はない。」 とのこと。


そこで期待を大にして「ゴルフ事始め」を読んでみた。

ワシもゴルフの起源(ルーツ)には詳しくて今まで色々書いているので面白く読まさせてもらいました。(笑)

ワシ流の 「ゴルフの起源(ルーツ)」のまとめ(笑)
「魁!!男塾」完結とゴルフのルーツ「呉竜府」

話の内容は、
「168×年ゴルフ狂のスコットランド王のヨーク公(後のジェームズ二世)は、イングランドの怒髪公ら貴族2人とゴルフの起源を巡って口論になり2対2のホールマッチで対決することになる。結果はヨーク公とコンビを組んだ貧しい靴屋ジョン・パターソンのスコットランド側の圧勝。
しかしイングランドの怒髪公は腹の虫が収まらず、靴屋の秘密を調べさせたら、靴屋には大きな鏡の前で練習をする秘密があった。怒髪公はその悪魔の鏡を盗ませて・・・・・」

ネタバレになるのでこれくらいしか書けませんが、実はヨーク公と靴屋ジョン・パターソンのスコットランド側の圧勝というのは1681年の実話でもあります。

そしてこの話の中には貧相な靴屋としか書いていませんが、ジョン・パターソンは当時のゴルフの名人であり、ヨーク公は勝利の褒美として賞金を与え、 パターソンはそのお金でお店を出し、その正面にヨーク公から贈られた、あの有名な「Far and Sure(遠く、かつ正確に)」と刻んだ楯型のプレートを飾っていたという史実があります。

このような史実に基づいて、作者のイマジネーションを駆使してユーモアとエスプリで物語を作るという手法は、ワシの敬愛する後年の夏坂健作品でおなじみですので、この作品に対してはまずまずとの評価はしますが、感動とか驚きは薄いです。

全般的にブラック・ユーモア溢れる奇妙な世界で、表題作の「ナポレオン狂」は普通に見える狂った人と、狂ったような普通の人が出会うと起こりえるブラックな話でした。(笑)

この中で面白かった作品は、「裏側」、「捩れた夜」、「縄ー編集者への手紙ー」でしょうかね。

ただ言われるほどの衝撃作でもなかったのは、直木賞選考委員の五木寛之の「文壇的感覚からすると異色作のように見られるのかもしれないが、今はこういった作品が主流といっていい時代なのではなかろうか。」という選評に象徴されていると思う。

この作品群が書かれた30数年前には新鮮だった描写法も、今ではありふれた手法になってしまったわけで、ワシがこの作品を読んだ時代が遅すぎたということでしょうな。

え~ワシのこのゴルフ本の評価は★★★です。(満点は★五つ)

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